金融用語集

ADR
ADR(American Depositary Receipt)とは、アメリカの金融市場で売買される、アメリカ以外の企業の証券のことです。
日本語では米国預託証券と訳されるADRは、海外で上場している企業の証券をアメリカでも簡単に取引できる仕組みです。ADRで取引の対象となるのは株式の裏づけを持つ預託証券です。

預託証券を発行するために、まずアメリカ以外の国で上場している株式をアメリカで営業する銀行が現地証券会社を通じて取得し、現地銀行に預け入れます。株を取得した銀行は、現地銀行に預け入れている株式を裏づけとした預託証券を発行し、米国証券取引所に上場します。このような形で証券取引所を通じて取引される預託証券がADRです。

ADRは、簡単に言えばアメリカ以外で取引されている株を証券を通じて間接的に取引する仕組みです。米国証券取引所で取引されるADRは、現物株の裏付けを持つという意味で株式と同じ価値を持ちます。預託証券という仲介を挟んで他国の株をアメリカの証券取引所でも簡単に取引できるのがADRの大きなメリットです。

ADRという仕組みを用いることで、海外の企業も間接的にアメリカに上場することが可能です。米国証券取引所への上場は、審査や手続きが必要で簡単ではありません。しかし、ADRなら仲介となる銀行の信用力を利用して比較的容易に上場が可能です。企業としては資金調達の機会が増え、投資家としては米国証券取引所を通じて通常の取引とおなじ感覚で海外企業に投資ができる仕組みです。

文責:グランネット

2020年10月末日現在の情報を元につくられております。