資産形成の必要性と理由から考える〜貯蓄から投資へ〜

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「貯蓄から投資へ」のスローガンに込められた意味

2000年代前半、金融庁が時々言及していた「貯蓄から投資へ」というスローガンをご存知でしょうか?このスローガンには、貯金という形で銀行に偏っている資金を、個人投資家を増やして直接投資をさせることにより、資金を必要な企業へとダイレクトに回るようにするという思惑が込められています。基本的に銀行の融資先は銀行自身が決定するため、ベンチャー企業や実績のない新興分野には資金の融通がしにくい実情があります。投資によりそれらの企業にも資金が回れば、あらゆる規模・分野の産業や企業がうまく立ち回れ、経済の成長を促すというストーリーです。

個人投資家による直接投資家を増やすために設けられた制度が、2014年からスタートした「NISA」です。NISAは一定の投資金額の範囲内で得た利益は非課税としているため、金融庁の発表によると2016年現在で1千万の口座保有者がおり、更に2018年にはより少額から長期の投資・運用が可能な「つみたてNISA」がスタートしました。

資産形成は人口減による将来リスクの大きなフォローに

このように、国を挙げて投資を推奨しているのはなぜでしょうか。これには先ほど挙げた経済活性化という理由もありますが、もう一つ「公的年金制度のフォロー」という大きな理由も挙げられます。

日本は本格的な人口減少のスタート地点におり、2017年9月現在の人口は約1億2,668万人ですが、2048年には1億人を割ることが予測されています。
一方で医療技術の発展と共に、長寿高齢化が進行しています。2010年には16.6%だった70歳以上の人口が、2048年には31%以上となる見通しとなっているのです。

このような状況の下で現在の年金制度・社会保障制度が崩壊する可能性、また年金支給年齢引き上げなどの可能性は多いにあり、老後リスクに備えるためにも、将来を見据えた資産形成をしておくことが大切だと言えます。そういった意味で、NISAの非課税は自分たちの将来を守るために国民に与えられた当然の権利とも言えますね。

資産形成と老後の生活は切っても切り離せない関係です。資産形成の方法や手段はNISAを利用した株や信託投資以外にも、不動産、外貨、保険などいろいろあります。自分が65歳になるまでにあと何年あるのか、またその間にいくら資産をつくりたいかなど、早めに資産形成のプランを立てておきましょう。

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