マイナス金利が日経平均株価に与える影響は?

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2016年2月に日本銀行はマイナス金利を導入しましたが、このことを受けて長期金利は劇的に下がりました。
為替も発表のあった直後に円安になりましたが、すぐに円高に急転換しました。2016年12月では1ドル117円、日経平均株価は19,400円となっています。

 

マイナス金利で景気は回復した?

日本経済の最大の懸案は円高の阻止ですが、この日銀の異次元金融緩和政策を打ち出したのにもかかわらず円高基調は強くなる一方です。
マイナス金利が導入され、金利がマイナスになると銀行は日銀に預けていれば金利を取られることになります。そのためできるだけ融資を行うことで景気は回復したのではないかと考えるかもしれません。

 

当座預金の全てが影響を受けるのではない

しかし実際のところ、マイナス金利が適用になる当座預金はわずかの部分です。マイナス金利は銀行など金融機関が日銀に預けている当座預金にマイナスの金利をつけるというものです。
そのため金融機関が貸し出しを活発に行うことで市場にお金が出回ることが狙いでした。しかし当座預金の全てがマイナス金利になるのではなく、マイナス金利の適用となるのは政策金利残高のみです。

 

肝心なところまでは踏み込めない?

マクロ加算残高や基礎残高にもマイナス金利を適用した場合には、景気は一気に回復するでしょう。マイナス金利の適用範囲がどこまでになるか不明なため、当座預金残高を少しでも減らそうと金融機関は不動産などに貸し込みを加速させる可能性が出てくるからです。
しかしそうなるとバブルが発生し崩壊するという可能性を高めてしまうため、そこまでは踏み込めない状況でしょう。

 

銀行や保険会社はダメージを受けた状況

マイナス金利導入により長期金利はマイナスになりましたので、住宅ローンなどの金利は実際下がりました。
しかしこの影響は限定的なものです。むしろマイナス金利を導入したことでマイナスになった長期金利がさらに下がり、銀行や保険会社などの収益に対して大きなダメージを与えてしまっている可能性もあります。
マイナス金利は景気を大きく回復させることができるまでの領域にまでは踏み込めないと考えられます。
今後追加緩和でさらにマイナス金利の幅を広げたとしても、実際に効果としてあらわれてくることは考えにくいかもしれません。

 

今後はどのような動きを見せる?

日本経済は、個人消費と設備投資が伸び悩んでいる状況です。円高や世界経済が不透明であるところから、外需も縮小傾向にあります。
日銀はETFの買い入れ枠を年間6兆円に拡大し、日経平均が割高でも売りを仕掛ける動きは乏しかったと言えるでしょう。
アメリカの利上げへの動きで円高傾向は一服し、堅調な値動きとなっていますが株価水準と実体経済のかい離が広がっていることで、小さな政策変更に対してももろい状況になったとも考えられます。

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