「貯蓄から投資へ」は経済と個人の対するテーマ

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スローガンにも使われたこの言葉の意味とは

2000年代前半に金融庁が度々言及していた「貯蓄から投資へ」というスローガン。この言葉の意味は、預貯金を重んずる国の金融資産を今後はリスクマネーである投資にも振り分けてバランスを整えて行きましょうということです。個人資産の半分以上は預貯金であり、株や債券、投資信託などのリスクマネーは1割程度の保持率です。

日本経済の「貯蓄から投資へ」

日本経済の貯蓄から投資へという形は、銀行預金を通じて企業などに資金を融資する方法である間接金融から、証券会社を通じて投資家の資金を直接企業に流すという直接金融へシフトさせていくと意味になるでしょう。

間接金融の場合、融資する先の決定権は銀行にあります。このような銀行主体の支援体制は高度経済成長期に重厚長大産業の育成ができるきっかけとなり、多大な貢献をしたと言えるでしょう。ただし銀行の立場としては、預金者にお金を借りているという状況であることから保守性を重視する傾向にあります。そのため新分野の企業やベンチャー企業の資金需要には答えてもらいにくいこともあります。

間接金融にはできない場面で活躍

直接金融の場合、自分がリスクを負って投資する投資家が存在することで成り立ちます。投資はリスクもある代わりにリターンも高く期待できます。リスクマネーの存在により、新分野の企業やベンチャー企業にもお金が流れて発展させることができると考えられます。間接金融が活躍できない場で活躍できるのが直接金融の特徴と言えるでしょう。

個人の「貯蓄から投資へ」

個人の貯蓄から投資へという考えは、言葉通り投資を行って資産を増やすという運用方法を活用しましょうということです。日本が現在少子高齢化の進んでいる状況であり、将来迎える老後の蓄えに充てる資金を保有することはとても重要なことと言えます。銀行預金も運用ですが、基本的に預金は元本保証という面で安全性が高くリスクの低い運用方法です。ただしその分リターンは限定されてしまいます。

運用によるリターンは安全性・収益性・流動性(換金性)のバランスで決定します。預金の場合は安全性と換金性を確保できますので、収益性は低くならざるを得ないのです。

老後に必要なお金は年金だけでは不足することが予想されます。老後費用は2,000万円とも3,000万円とも言われており、多額の資金の準備には一定以上の利回りで運用することが必要です。そのため投資により一定以上の収益性を得るという方法は大変有効な方法と言えます。

「貯蓄から投資へ」という考え方

貯蓄から投資へとシフトしていくことは、国全体の課題でもあり国民一人ひとりの課題でもあります。自分の老後は自分で守るため、将来必要になる蓄えのために今から少しずつ貯蓄から投資での運用に目を向けて行くようにしましょう。

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