貯蓄はいくら必要?「貯蓄目標額」の算出方法を考えよう

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貯金を毎月していても、自分の貯蓄額に不安を抱いていませんか?「どれくらい貯蓄があれば安心なのか」について一概に言うことはできませんが、生涯にわたる収入と支出から、必要な貯蓄額を算出することは可能です。今回は目標とすべき貯蓄額について考えていきましょう。

65歳以降は、貯蓄を切り崩しながらの生活

具体的な必要貯蓄額を考える際に、まず自分の年代別に収入・支出についておさらいをしておきましょう。

第1ステージ:現在〜60歳までの貯蓄
収入(給与、保険満期金など)−支出(生活費など)=貯蓄

第2ステージ:60~65歳までの貯蓄
収入(継続雇用・つなぎ雇用での給与など)−支出(生活費など)=貯蓄

第3ステージ:65歳以降
収入(主に年金)−支出(生活費など)=差額を貯蓄で補填

このように第3ステージ以降においては、よほど裕福でない限り多くの人が年金だけではマイナスの収支になります。そのため収入(年金)と支出の差額を貯蓄で補填することになるのです。

つまり60歳以降の支出と収入にある程度目安をつければ、必要となる貯蓄額の目標額を定めることができます。

リタイア後はどれくらい収入が確保できる?

会社を定年退職した後には、どれくらい・どのような手段で収入が確保できるのかについて考えてみましょう。

(1) 年金
年によって多少の動きはありますが、夫婦二人の標準的な年金額は、二人の国民年金と勤労者どちらかの厚生年金を含めて23万円前後です。定年まで夫婦共にフルタイムで勤労した場合は、厚生年金が二人分となるので年金額に上乗せされます。

ただしこれはあくまで現行の内容であり、少子高齢化の影響で現在20代〜40代の方が現在と同様の年金額を支給される可能性は低いと言わざるを得ません。
そのリスクも考慮し、年金としての収入を考えてみましょう。具体的には年金額が現在の「10%、または20%減になったら」といった具合です。

(2) 退職金
厚生労働省やと東京都産業労働局などの調査によると、平均的な定年退職金は1140万円前後となっています。大手企業であれば2,000〜3,000万、中小企業であれば平均前後か少ない金額になることが多いでしょう。また新卒で入社し定年まで勤務すれば退職金も多く、30代や40代で転職した人は勤続年数が浅いためその分退職金も少ないことになります。

(3) 継続雇用
最近では定年が65歳に引き上げられる企業も増えてきました。もしくは60歳で定年し、別の仕事に就くこともあるでしょう。現役時代のようにはいきませんが、20万の手取りで5年働いた場合、1,200万の収入となります。

(4) 保険の満期金
契約内容にもよりますが、300〜500万の支給額と仮定します。

これらを計算すると、年金額が現在の20%カットと仮定した場合、ざっと7,000万〜8,000万程度の収入となります。

リタイア後の支出はいくら?

それでは、リタイア後の生活について考えてみましょう。

(1) 生活費
2017年の総務省による「家計調査年報」http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/pdf/gy02.pdf
によると、65〜69歳の1ヶ月あたりの無職夫婦世帯の消費支出は264,661円となっています。1ヶ月27万円で計算すると、65歳から85歳までの20年間で約6,500万が必要になります。

(2) 医療費や家族に関する費用
そのほか、医療費や子ども・孫などに関する出費などが大きな支出となります。これらは個人差があるため一概には言えませんが、おおよそ1,500万として計算します。

(1)(2)を合算すると、65歳〜85歳でおおよそ8,000万円を支出することになります。

保険の満期金や、60~65歳のある程度収入が確保できるつなぎ勤務、まとまった退職金などを考慮しても、リタイア後の収支はプラスマイナスがゼロか、マイナス1,000万円となる結果になりました。さらに退職金が期待できない人、住宅ローンが残っている人、つなぎ勤務の収入が期待できない人などは、上乗せした貯蓄額を考える必要があります。

これらの考え方をベースに、自分の貯蓄目標額を設定してみましょう。

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