円安が進行中!今知っておきたい円安のメリット・デメリット

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ここ最近、「歴史的な円安」というニュースを耳にしたという人も多いのではないでしょうか。2022年3月頃から円安が進行し、9月頭には24年ぶりとなる1ドル=140円台に突入しました。この円安が私たちの家計に与える影響を解説します。

円安・円高のおさらい

まずは基礎のおさらいです。円安とは円の価値が安くなる(下がる)ことで、逆に円高は円の価値が高くなる(上がる)ことです。例えば、1ドル=100円から1ドル=130円に推移すると、1ドルで買える円の量が増える(つまり円の価値が下がっている)ということになり、円安が進行したということになります。逆に1ドル=130円から1ドル=100円に推移すると、円の価値が上がり円高が進行したということになります。

外国にモノを売る企業(輸出企業)は、円安だと輸出品の外国での値段が安くなるため、売れ行きが良くなり有利な状況になります。逆に円高だと輸入企業が有利になり輸出企業が不利になるのです。

家計への影響

円安の進行は私たちの家計にも影響をもたらします。まずは食料品やガソリン価格の高騰です。日本は穀物や果物などの食料品、原油や天然ガスなどのエネルギーの多くを海外から輸入しています。円安時の輸入は不利なので、これらの価格が高騰し、その影響で加工品も高騰します。現在は円安と共にコロナ禍やウクライナ危機などを起因とする資源高も相まって、影響が一層大きくなっています。

こうしたエネルギー価格の高騰は飛行機の燃料高にもつながります。実際、全日空と日本航空は、燃油サーチャージ(国際線の特別運賃)の8月・9月発券分を大幅に引き上げました。円をドルに換えるレートも不利なので、現地での食事や買い物も割高になります。コロナ禍の規制が緩みつつある中、そろそろ海外旅行へ…と考えている人にとっては厳しい状況といえるでしょう。

スーパーで食料品の値上げが目に付くことも増えてきました。実際、主要飲食料メーカー105社では、今年1~8月までに1万品目以上の値上げを実施。最終的に、値上げの年内累計は2万品目を超えると見られています(帝国データバンク調べ)。 年初に値上げしたものでも、秋以降に再値上げ・再々値上げを実施されるものもあるなど、私たちの家計の負担はますます大きくなりそうです。

みずほリサーチ&テクノロジーズが発表した『政府の「総合緊急対策」の評価』 によると、資源高や円安によって、年収300万円以下の家計は年5万8000円の負担増、年収1000万円以上の家計は年8万7000円の負担増という試算もあります。低所得世帯のほうが価格高騰の影響を大きく受けてしまうようです。

メリットとなる影響は

デメリットばかり目につく円安の影響ですが、逆にメリットとしては、輸出企業が有利になる、日本へくる外国人観光客からは物価が安く感じるため観光業が潤う可能性がある、外貨建て貯蓄をしているなら売り時になるなどが挙げられます。ただ、一般家計への影響という視点でみれば、円安のメリットは薄いというのが実情かもしれません。

いずれにせよ、世界経済は刻一刻と変化しており、円安傾向が円高傾向に変わったり、その逆もまたありえます。自分の買いたいものが値上がりしたり値下がりしたりして家計にも直接的な影響が出るので、日々の経済動向は積極的に意識するようにしたいものです。

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