金融商品取引法は利用者を保護するための法律

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規制緩和されていた金融分野での法律

 1996年から2001年には金融ビッグバンと呼ばれる大規模な金融制度改革が行われました。金融分野の規制緩和が進行したことで、取り巻く金融の環境は大きく変化し選択できる金融商品や取引ルートが広がりました。

 そのかわり複雑な金融商品や取引によるトラブルも増加してしまい、金融商品を取引する際の利用者の保護や透明性、公正な市場づくりを行うことが必要になりました。このような理由から成立されたのが金融商品取引法です。

 

金融商品取引法が施行されたことで様々な変化が

 規制緩和されていた金融分野の商品は、金融商品取引法により大きく変化が起こりました。

 バラバラだった法律が横断化でまとまった

 金融商品取引法が成立するまでの法体系は金融商品によって違いがあるなど、理解することが大変でした。それが法律の施行されたことにより、横断的にまとめられ、規制のすき間から抜け落ちる金融商品をなくすように実施されています。

 登録しなければ金融商品を扱うことができなくなった

 金融商品を取り扱う業者は金融商品取引業に位置づけられます。この金融商品取引業者として業を行うには、内閣総理大臣に申請し登録する必要があります。

 販売や勧誘するためのルールが強化された

 金融商品を販売・勧誘する際ための様々なルールが強化されています。まず、その人に合う商品を勧めて販売する必要があります。その際に不利益になる説明は省いたり、嘘の説明をするなどは禁止されています。また、その金融商品に対するリスクや手数料は明確に表示し、書面で交付する必要もあります。また、取引によって生じた損失の補てんなども禁止されています。

 罰則を強化することで犯罪を防止

 個人法人に関係なく、刑事罰、罰金、課徴金を課す罰則強化が行われました。インサイダー取引や有価証券報告書の不提出、架空注文で売買が盛んなように見せておき、成立しそうになると取り消すなどの見せ玉行為、公正さのない取引や噂を流したりすることも全て違反です。

 透明性の高い公正な市場づくりが可能に

 金融商品取引法により、四半期ごとに有価証券の決算報告書を公表すること、確認書の提出などが義務付けられたことで、上場企業に対して透明性が高く充実した情報開示が行われるようになりました。

 特定投資家か一般投資家かによって保護ルールが違う

 実は対象となる人がプロである特定投資家である場合と、アマチュアである一般投資家によって保護ルールに差があります。特定投資家には利用者保護ルールの適用がほとんどされません。特定投資家とは、その金融取引について取引経験が1年以上ある純資産額3億円以上、投資性のある金融資産3億円以上の人で、申し出によりプロの特定投資家へ移行することが可能です。

 まとめ

 金融商品を選択するには、金融商品の仕組み、リスク、手数料などそれぞれ商品の内容をしっかりと確認し理解しておくことが大切です。金融商品取引法によって様々な規定が設けられました。ルール違反のない取引を行うようにしましょう。

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