将来の生活費が不安。年金って本当にもらえるの?

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2018年度から、公的年金は額の伸びを抑える年金制度改革関連法案が決定されました。少子高齢化や金融情勢を考えた上での判断だと言えますが、年金は払っても本当に受け取ることができるのかと考える人も多くいます。年金制度や行政だけでなく、日本に期待できないと感じる若者も増える中で、本当に年金を将来受け取ることができるのかが不安視されている状況です。

Step1.年金がもらえなくなるわけではない?

今の制度は国の税金や企業が負担しながら、高齢者の受け取る年金を支えています。今の20歳の人が厚生年金に加入した場合、将来年金で考えると支払った額の2.3倍を受け取ることができます。しかし今の70歳は支払った額の5.2倍を受け取れているため、年金保険料は払わないで貯金したほうが良いと考える傾向にあるようです。ただしこれは現在の制度の話です。

Step2.高齢者と現役世代の人口

65歳以上の老年人口を、15歳から64歳までの生産年齢人口何人で扶養するかについては、年々その割合が変化しています。例えば1960年の段階で、65歳以上の老年人口1人に対しては現役世代11.2人が支えている状況でした。それが2000年には老年人口1人に対して現役世代3.9人、2050年には老年人口1人につき現役世代1.5人が支えなくてはならなくなります。

2-2.問題視される2025年問題

団塊の世代と呼ばれる1947~1949年の第1次ベビーブーム世代である800万人の人たちが、2025年には75歳以上の後期高齢者になります。2025年問題と言われるこの問題は、少子高齢者に拍車をかけると言われており、さらにその後も高齢化は続くことが予想されます。2030年には人口の3分の1近くが65歳以上の高齢者になると言われているため、年金、医療、介護など社会保障費と言われる費用の危機的状も日本は検討していかなければなりません。

Step3.マクロ経済スライドについて

2018年度からはこのような理由から年金額を調整するために、マクロ経済スライドが強化されます。年金額は賃金や物価上昇によって受け取る額が増える仕組みになっていますが、マクロ経済スライドとは現役人口の減少や平均余命の伸びなど、社会情勢に応じて年金給付水準を自動的に調整する仕組みのことを言います。マクロ経済スライドによる調整中は、賃金や物価による年金額の伸びから、スライド調整率を差し引き年金額が改定されます。スライド調整率は今後、現役世代が減少していくこと、そして平均余命が伸びていくことから、公的年金全体の被保険者の減少率の実績、平均余命の伸びを勘案した一定率で計算されます。

3-2.2018年度からの新ルール

公的年金には賃金や物価上昇分を毎年反映して支給額を増やすという仕組みですが、この支給額の伸びについて賃金や物価上昇分より抑えるという仕組みがマクロ経済スライドです。2018年度からは、賃金や物価低迷といった景気後退期には支給額の抑制を凍結する代わりに、賃金や物価が上昇した場合には複数年分まとめて年金額を抑えるというルールが導入されます。これは年金支給額によって年金財政が大幅に悪化することを避けるためで、2004年の年金制度改革で導入されたものの、物価下落時のデフレ環境下では使わないといったルールに基づき、実際に実施されたのは2015年度の1度のみでした。

3-3.物価が上がったら年金受給だけでは物が買えなくなる可能性

今回のマクロ経済スライド強化を柱とした年金制度改悪法案の閣議決定により、消費税率が10%に引き上げられて物価上昇となったとしても、年金額はほとんど上がらなくなります。今100円で買うことができるパンの物価が将来110円になったとしても、これまでは年金も物価上昇に合わせて上がっていたので110円のパンを買うことができました。しかし新しいルールによって、物価が上昇しても物価と賃金のいずれか低い方に基準を合わせるため、物価上昇しても賃金が下がれば年金は下がることになります。年金のみで生活する人は物が変えなくなり、生活が成り立たなくなると考えられるでしょう。年金を既に受け取っている高齢者だけでなく、現役世代が将来的に受け取ることができる年金も減らされることになります。

Step4.実際年金積立金も減少している

年金保険料のうち、年金支払いに充てられなかった分は年金積立金として積み立てられて市場で運用されています。2037年には厚生年金の積立金は枯渇するといった試算もあるため、年金積立金があるからと安心しているのは危険だと考えられます。

Step5.受給年齢が引き上げられる可能性

75歳になるまで年金をもらわない選択も可能になる制度も検討されているようです。現在老後に受け取る老齢基礎年金は原則65歳から支給となります。しかし本人が希望すれば、受給年齢を早めることも遅らせることもできるようになっています。最短で60歳から受け取るように早めることができますが、65歳から1か月早めるごとに0.5%受け取る額から減額されます。遅らせる場合には最長70歳まで伸ばすことができますが、65歳から1か月遅らせるごとに0.7%増額されます。この最長70歳を75歳まで引き延ばすことができるようにする改正案があるようで、例えば65歳から10年延ばした場合には84%多く年金を受け取ることができるようになります。老齢基礎年金額はおよそ倍近く増えることになり、現在日本は長寿化しているためこのような選択も十分アリだと考えられるでしょう。

5-2.そもそも支給される年齢を遅らせることも検討されている

しかし65歳から支給を任意で延長するのではなく、そもそも受け取ることができる年齢を65歳から遅らせるという検討もされているようです。これは平均余命が延びていることによって年金受給者が増大していることによるものでしょう。年金支給開始年齢の引き上げや年金受給額の減少は今後十分予想される改正です。年金制度が破たんしてしまうというよりも、このような改正が実施される可能性があると考えたほうが現実的です。そのため老後資金を年金制度だけに頼ることなく、自助努力によって準備しておくことも必要だと言えます。

Step6.世代間不公平が若者の年金への不満を増大させる

年金制度は人々の老後の暮らしを支えるための大切な保障です。そのため年金保険料の払い損など、世代間に不公平があってはならないと言えます。しかし実際には現在75歳以上の高齢者は納めた年金保険料よりも大きくリターンを得ている納め得状態であるのに対し、これから年金を受給する世代は納め損になると言われています。さらには年金による保障も、今の制度が続くわけではなく将来的に大きく改革されることも十分予想されます。

6-2.ただし老後破産に陥る高齢者も存在している

既に老後破産という危機にさらされている高齢者も存在し、生活保護の基準よりも低年収の高齢者世帯は半数以上という状況です。今後生産年齢人口がさらに減少し、高齢者が増え続ければ年金受給額は減少させるしかないとも考えられます。

Step7.老後の資金準備のポイント

老後までの時間、長期に渡る貯蓄を行うことが必要です。途中で取り崩さないようにコツコツと積立てていくことが大切です。現在の自分のライフスタイル等に合わせて、どのような金融商品が老後資金の準備に適しているかを検討しましょう。退職金など受け取ることができる人の場合には、退職金を生活費として削っていくだけでなく、運用できる部分はないかということも検討しておくと良いでしょう。

まとめ

年金保険料を支払ったとしても払い損になるだけだから払わないという選択はできません。年金保険料は税金のため支払うのは国民の義務となっています。それならどのように老後資金を自助努力によって準備していけば良いか、どのような金融商品を活用すれば良いのかなどを考えていく必要があります。一人で考えてもわからないなら、お金のセミナーに参加してみませんか?セミナーに参加することで開かれる道があるかもしれません。人によって生活のスタイルや環境は様々で、活用すると良い金融商品も色々です。一番自分にとって良い商品を選ぶことで、しっかりと老後資金を準備することができるでしょう。

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