【令和2年分】年末調整の変更点は? 押さえておきたいポイントをチェックしよう

  • LINEで送る

年末が近づくと、その年の収入を棚卸する「年末調整」の時期が迫ってきます。会社員の場合は必ず年末調整を行う必要がありますが、今年の年末調整は令和2年度の税制改正にともない、書類の書き方にも変更があり複雑になっています。書類をもらって焦ることがないように、変更ポイントを知っておきましょう。

今年の年末調整何が変わった?

毎月支払われる給与や賞与からは、所得税が天引きされています(=源泉徴収)。しかし、毎月の給与や賞与からの源泉徴収額はあくまでもその時点での仮の金額で、実際に納税する金額とは異なるため、調整を行う必要があります。そこで、12月の給与等の最終支払日に税金額を計算しなおし、過不足を調整すると共に、社員それぞれの事情に応じた控除も行ってくれるのが「年末調整」です。毎年11月ぐらいに、会社から書類が配られ、必要な書類を提出することになります。

令和2年度の税制改正により、今年の年末調整の書類の書き方にはいくつか注意点があります。まずは税制に関するおもな変更点を確認していきましょう。

変更ポイント1 基礎控除額が10万円の引き上げに

そもそも「控除」とは、収入から差し引ける金額のこと。所得からの控除(=所得控除)が大きいほど所得が少なくなり、税負担が軽くなります。所得控除には13種類がありますが、そのうち「基礎控除」とは、職業や扶養者の有無に左右されず、誰でも一律で受けられる控除のことです。

これまでの基礎控除は一律38万円でしたが、今回の税制に関する改正で48万円と、10万円の引き上げとなりました。また、所得が2400万円(年収で2595万円)超の人は基礎控除を減額または受けられなくなるという変更も。この所得制限が設定された背景には、基礎控除に生活保障的な役割があり、収入面で余裕がある高所得者には税負担の軽減は必要ないという考え方があります。ただ、一般的な給与をもらう多くの人にはこの所得制限の影響はなく、基礎控除が一律48万円になったという点だけ押さえておけば問題ありません。

変更ポイント2 給与所得控除の引き下げと所得金額調整控除の新設

次に、「給与所得控除」にも変更がありました。給与所得控除は、給与所得者の給与から一定額差し引ける控除額のことで、個人事業主の「必要経費」にあたるもの。収入金額から「給与所得控除額」を差し引いた金額が「所得(給与所得)」となります。

先ほど解説した基礎控除が10万円引き上げになる一方で、給与所得控除は10万円の引き下げとなります。つまり、所得から差し引かれる金額はプラスマイナスゼロで、多くの人は納税額が変わらないということになります。

ただし、給与所得控除には上限があり、これまでは年収1000万円を超えると控除額は220万円の上限に達していました。しかし、今回からは年収850万円超で上限の195万円に達してしまいます。

つまり、年収850万円を超える会社員は実質増税になってしまいます。ただし、「年収850万円超の人でも介護・子育て世帯は増税にならないように」という措置が新たに設けられました。本人や扶養親族が特別障害者である場合や、23歳未満の扶養親族がいる場合は、年収850万円超であっても最大15万円の「所得金額調整控除」を受けられます。対象となる人は、年末調整でこの控除を申請すれば、増税が緩和されることになります。

変更ポイント3 すべての未婚のひとり親に控除が適用

改正前は、ひとり親のうち未婚のひとり親は寡婦控除の対象外でした。この不公平を解消するため、婚姻歴や性別に関わらず、所得が500万円以下で生計を同じとする子(総所得金額などが48万円以下)を持つ単身者について、所得税35万円、住民税30万円の「ひとり親控除」が適用されることになりました。

また、ひとり親に該当しない人で、離婚や死別による寡婦については、引き続き「寡婦控除」として所得税27万円、住民税26万円の控除が適用されます。また、これまで「特別の寡婦」として寡婦控除を受けていた人については、改正後は「ひとり親控除」として所得控除を受けることになります(控除額は35万円のままで変更なし)。

もう1つ、今回の改正では、男性と女性の平等化が図られました。これまで寡婦控除を受けられる所得の条件には男女差がありましたが、今回からは男性と同様に女性にも「所得500万円以下の場合に限る」という制限が設けられています。

改正を受けて年末調整の申告書にも変更が!

前回の年末調整の書類は、

1.「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
2.「給与所得者の配偶者控除等申告書」
3.「給与所得者の保険料控除申告書」

の3種類。住宅ローン控除の対象者については、別途税務署から送られてくる「住宅借入金等特別控除申告書」の提出が必要でした。

しかし、今年の年末調整の申告書の種類は、

1.「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
2.「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
3.「給与所得者の保険料控除申告書」

の3種類となりました。2に「基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」が兼用される形です。書類の数は3枚と同じですが、今まで2に該当しなかった人は提出書類が2枚だったところ、今年からは保険料控除を申請する人であれば、3枚提出することになるので、注意しましょう。

最後に

今年の年末調整では提出書類が変更になり、「自分はどの書類を記入すればよいのか」と混乱する人が多くなることが予想されます。年末調整の書類についてわからないことは、会社の担当者に確認をとりましょう。また、今年から面倒な計算はもちろん、いくつかの質問に答えることで自分の提出すべき書類がわかる「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」(通称:年調ソフト※)が国税庁よりリリースされていますので、活用してみるのもよいかもしれません。

  • LINEで送る